TDBC
WG02_2021_ACTIVITIES

乗務員の睡眠管理に関するアンケート調査結果のご報告

課題テーマ
ハッシュタグ
乗務員の睡眠管理に関するアンケート調査結果のご報告

018年度のWG02「乗務員の健康増進」のワーキンググループ活動の一環として、昨年(2018年)10月〜11月に「乗務員の健康管理に関するアンケート調査」を実施しました。

このアンケートでは、
2017年度のWG02「乗務員の健康増進」の活動で、タクシー事業者を対象に「健康に関するアンケート調査」を実施したところ、乗務員さんの睡眠の質と事故の件数、時間当たりの売上に相関があることが、アンケートおよび、事故の履歴、運賃収入の記録のデータ分析結果から抽出されました。(詳細は、TDBC Forum 2018の発表資料を参照ください)

さらに、2018年6月1日よりバス・タクシー・トラック事業について、運転者の睡眠不足による事故の防止を一層推進するため、睡眠不足の乗務員を乗務させてはならないこと等を明確化し、点呼簿の記録事項として睡眠不足の状況を追加との法令改正が行われたこと(2018年4月20日国土交通省発表)を受け、WG02「乗務員の健康増進」のワーキングでは、その対応状況等について正しく把握し、より具体的かつ効果的な対策を検討するために、会員の運輸事業者および団体に睡眠に関するアンケート調査の協力をお願いしました。

その結果、以下23社の事業会社および団体から回答をいただきました。
ご協力をいただきありがとうございました。
運輸事業者 23社(内運輸関連団体2)
乗務員数 平均 513.7名
車両台数 平均 446.0台
※業態:貨物 43%、バス 36%、タクシー 21%

睡眠不足に起因する事故の防止対策を強化のための規則改正について、10月時点ではおおよそ認知されており、約80%の事業者において完璧または、ほぼ実施できているとの状況。一方で実施において課題があるとした事業者も約20%あり、今後フォローが必要だと思われる。
(課題例)管理者向けの実用的なガイドラインとかがあれば、助かります。1回の点呼は3~5分以内にしないと回りません。

アンケート
アンケート

また、意見として以下のような記載をいただきました。

1.睡眠について乗務員自身も関心がある一方で、退勤後、休日など会社にデータを出すことに抵抗を示す者が少なくない現状があります。各社様における説明事例、方法があれば共有いただけますと幸いです。

2.高齢者でも簡単に扱えるような機器やアプリケーションで安価に導入できるシステムの開発。

3.原則としてアルコール検知に機械を使用しているところが多いと思うので、連動させるソリューションを検討してほしい。

TDBCとしては、これらの意見に対して以下のような対応を行っています。

1.については既に実践されており、協議会内外で発表されています中日臨海バス株式会社が日本産業衛生学会で発表された資料「産業栄養活動による乗務員の健康状態改善効果の検証」を下記に公開させていただきます。

2、3については、今後サポート会員企業との連携を進めていく予定です。

アンケートの結果からTDBCとしては以下の様に考えています。
乗務員は仕事柄、睡眠不足になりやすいにも関わらず、「睡眠不足」の相談や報告が少ない。
その理由としては、以下が想定される。

  • 乗務員が報告しづらい状況にあるのでは
  • 乗務員の睡眠状況を本人、運行管理者も正しく判断する方法が無い
  • また、事業者側としては、以下のような現状に対する具体的な対策が必要。
  • 乗務員の睡眠管理は非常に重要な課題であるとの認識があるものの
  • 睡眠不足を厳密に管理した場合、人手が足りなくなる
  • 対策としても、乗務員の睡眠不足を解消するための対処法がわからない


WG02のこれまでの活動

2017年度のWG02「乗務員の健康増進」で実証実験
乗務員の健康に関するアンケート調査をタクシー事業者で実施。アンケートで取得した20項目(身体的基本項目、日常生活関連項目、健康課題)に事故の履歴、運賃収入の記録のデータ組み合わせてデータ分析を行いました。

分析の結果、
「睡眠の途中で目覚める」人は、他と比べて2年間の事故件数が2.2倍(1.67件)高い傾向にある
「睡眠の満足度が高い」人は、他と比べて時間当たりの売上が約542円高い傾向にある
「倦怠感のある」人は、他と比べて2年間の事故件数が2.2倍(1.69件)高い傾向にある
などの相関がわかりました。 

2017年度の活動から
「睡眠の質と事故件数(―)、売上金額(+)との相関」があるとの結果がある一定の条件の中ででたことから、
2018年度の活動では、
「睡眠の質を上げると事故件数が減り、売上金額(生産性)が上がるのではないか」との仮説を立て、
「睡眠の質をサポートするサプリの摂取で睡眠の質、併せて事故件数はどのように変化をするのか」という検証(実証実験)を行うこととしました。

20190723_pic.jpg

その結果は、TDBC Forum 2019で発表されました。